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Column

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『Largo』が“心を満たし、人生を奏でる”コーヒーブランドになった理由

UCCグループの技術を集結し、10年の歳月をかけて開発された『Largo』。香りを閉じ込めるフレッシュアロマシステムを採用し、高品質なコーヒー豆を最高の状態でお届けすることで、長く愛されてきた製品です。

そんな『Largo』が、2023年にリブランディングされました。LUXURYブランドという位置づけとなり、「Largo Experience Room」の設置や認定制度をはじめとした、さまざまな取り組みが行われています。

これらの取り組みを語る上で、欠かせないのが「Largo Brand Statement」です。『Largo』が向かうべき方向性や大事にしているものを表し、プロダクトを定義するものです。この言葉を軸に、リブランディング後の『Largo』はさまざまな展開をしてきました。

今回は外部ブランドディレクターの青栁と、販売企画本部 コーヒー企画チームの宮原に、「Largo Brand Statement」の意義と込めた思いを聞きました。

目指したのは、
『Largo』の価値を社内から伝播させる言葉

「Largo Brand Statement」は、なぜつくられたのでしょうか?

青栁 このステートメントは、『Largo』のリブランディングの一環で提案したものです。フラッグシップである『Largo』にあらためて光を当てるべく、今までのブランディングを見直すことが目的でした。

いただいた要件の中でまず難しかったのは、ロゴマークもフォントも変えられないことでした。リニューアル内容が説明的になりインパクトも弱いので、変わった感が出しにくい。デザイナーとしてとても難易度が高いと思いました。

その難しい状況を、どのようにクリアしていったのですか?

青栁 より情緒的な価値を訴えるクリエイティブによって、まず社内のインナーブランディングを高める効果を狙うことにしました。お客さまに『Largo』の価値を伝えるためにも、まずは社内での認知を高めたかったんです。そう考えるうちに、「Largo Brand Statement」のアプローチにたどり着きました。

青栁 実はプロダクトでステートメントをつくるケースは珍しいです。本来、ステートメントというのは企業として掲げるものなので、その中のブランドが各々に掲げることが少ないのです。でも、UCCが「紡いできた歴史の最高峰」であるLUXURYの『Largo』だけは、許されてもいいのではと考えました。

リブランディング前は、「Purpose」のようなものはあったのでしょうか?

宮原 キャッチコピーがいくつかある状態でした。それも「いくつかあってしまった」に近く、「『Largo』はこういう特長だから、こう伝えよう」と考えたコピーがバラバラに存在していました。

青栁 みんな『Largo』に対してすごく強い思いを持っているけれど、統一のメッセージがないことで価値が薄まっているようなイメージでした。だからこそ、みなさんの熱い思いを凝縮して、可視化できたら強いのではと思ったのです。

みなさんの思いが集結した言葉なのですね。「Purpose」の「心を満たす。人生を奏でる。」というフレーズも素敵です。

青栁 企業のステートメントだと、この部分は「Vision(展望・構想)」を提示するのが通常ですが、あえて「Purpose(目的・意図)」としました。『Largo』に携わるみなさんの話を聞いていると、『Largo』を通じて実現したいことより「『Largo』とはこういうものだ」という内側から滲みでるものが強いと感じたからです。みなさんの思いがそこにあるなら、そのまま主張したほうがクールだなと考え、最初に「Purpose」を置きました。

青栁 また「誰を」「何を」を、あえて定義しなかったところもポイントです。『Largo』をお届けしたお店、そこで働くバリスタやサービススタッフ、さらにはエンドユーザーまで、それぞれが満たされる、奏でるシーンがあり、すべてを包括したいという思いがあったからです。

またコーヒーを飲む時は、常にハッピーな状態とは限りません。プレゼン前の緊張を和らげたい時や、振られた時に飲むコーヒーもあります。『Largo』という存在が、いいことも悪いこともある人生のあらゆるシーンに寄り添い、心を満たしてくれる状況こそ理想だと考えました。

『Largo』に携わるみなさんの思いが大きく反映された言葉なのですね。宮原さんは、それを聞いていかがですか?

宮原 私たちの思いがしっかり伝わり、形になってうれしいです。青栁さんにはずっと、イタリアのエスプレッソと日本生まれのエスプレッソである『Largo』は違うんだという話をしていました。イタリアでは、朝の出勤前などクイックにエスプレッソを飲むシーンが多いですが、日本はビジネスの場や友達とのおしゃべりなど、さまざまなシーンでコーヒーが飲まれています。その違いを押し出したいという思いがありました。

それを「満たす」と表現したり、音楽用語でもある『Largo』の言葉の意味とかけて「奏でる」という言葉に落とし込んでいただいたのは、まさに『Largo』の思いが乗った「Purpose」だと思っています。

一方で社員からは「人生を奏でる、ってどういうこと?」と聞かれることもあり、引き続き広める努力が必要だと思っています。

青栁 実はこの表現は、抽象度が高いことも大切なポイントです。社員のみなさまに質問されるくらい興味を持ってもらえている証拠ですし、それに対して応えるコミュニケーションまでが「Largo Brand Statement」の価値になっているはずです。

『Largo』が掲げる3つの約束。
心を動かす体験をデザインする

存在意義を掲げる「Purpose」と合わせて、「Promise」もあります。これはどういったものなのでしょうか。

青栁 日本のコーヒー業界を牽引してきた歴史を持つUCCグループ、その最高峰・LUXURYである『Largo』は何を約束すべきなのか。それを集約させたものになります。

青栁 まず「Beyond product」は、品質の話です。製品クオリティは多くの方が言及されており、『Largo』独自のフレッシュアロマ製法の押し出し方についても、白熱した議論がありました。そういった議論が生まれるのも、みなさんが品質に対して高い熱量を持っているからこそです。

「Beyond product」は直訳すると「品質の向こう側」。これは、製品のクオリティだけでなくコーヒーにまつわる一連の体験をお約束するものとして作りました。

製品そのものでなく、コーヒーにまつわる体験を約束するのですか?

青栁 車でもITでも、技術はいつか追いつかれます。その時に重要なのはテクノロジーとか技術そのものではなく「技術を通じて何を実現したいのか」になります。

もし「Promise」を品質だけに絞ると、『Largo』の存在意義「心を満たす。人生を奏でる。」は叶いません。『Largo』は高いコーヒー豆の品質を前提に、1杯のコーヒーにまつわる体験すべてにこだわっていく。そうすることで、ラグジュアリーブランドになっていけると信じています。

コーヒーにまつわる体験というのは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

宮原 まず取り組んだのは、『Largo』の世界観を五感で体感して没入していただくためのスペースとして『Largo Experience Room』を青山のショールームに新設しました。

また『Largo』のBOTTLE MODELを開栓するための専用治具のお届け方法も刷新しています。今までは、簡素なビニール袋のまま営業がお客さまに手渡していましたが、ラグジュアリー感のある箱に開栓治具と、ウェルカムレターや抽出レシピ、推奨環境などのご案内も同封してお届けする形にしました。

青栁 また、お届けの方法自体も考えています。UCC コーヒープロフェッショナルでは製品を頼むと、ひとつのダンボールにまとめて発送されますが、『Largo』だけはその中にいれず、個別でお届けするなど検討中です。

注文してお客さまの手元に届き、使って、リピートする、その一連の流れを体験としてデザインする、「Beyond product」はその意思表示でもあります。一つひとつのプロセスに対して、「我々は奏でられているのか」を問いながら品質にこだわるべきだと考えました。

ふたつめの「Co-creation」にはどんな思いが込められているのでしょうか。

青栁 『Largo』をお届けするお店の状況はさまざまで、必ずしもコーヒーの知識や技術を持つ方が在籍しているとは限りません。どんな状況でもお客さまの心を満たすために、『Largo』の魅力やコーヒーの知識を広く共有して、一緒においしいコーヒーを提供していくことを掲げた言葉です。

宮原 この「Promise」を具現化したものが、UCC独自のバリスタ認定制度「The Great Barista of 『Largo』 〜達人のコーヒーが飲める店〜」です。

宮原 初のゴールドランク認定店舗は、トップの方が「スタッフにプライドを持ってコーヒーを出してほしい」と活用いただき、2024年6月時点で4名のスタッフがゴールドランクを取得されました。

その結果、「スタッフの技術力アップができた」と評価いただき、スタッフの方にも「講習を受けていくうちにコーヒーに興味が湧いてきた」「バリスタの資格にも挑戦したいという気持ちも芽生えてきた」と言っていただけたのはうれしかったです。

認定制度を活用することでお店のサービス向上だけでなく、スタッフの方のキャリアやコーヒーとの関わり方にもよい影響があったのですね。

青栁 「あらゆる技術レベルのバリスタパートナーと共に歩み」という一文も、どんなステージの方にもナレッジを共有して、一緒に歩みたいという思いがあります。今日からお店で働き始めた方でも『Largo』やコーヒーのことを学んでいただけます。

最後の「Moving you」はどのような意味が込められているのでしょうか?

青栁 「Beyond product」「Co-creation」を通して生まれた結果を、あえて約束として入れた言葉です。「心を満たす。人生を奏でる。」に込められた「人生のいい時も、悪い時も寄り添う」というメッセージに対して、「Moving you」はポジティブな約束ごとです。どんな時にも寄り添い、最終的にはポジティブに心を動かしていきたいという思いを込めました。「心を動かす」ことが『Largo』としての約束なのだと、『Largo』に関わるすべての方に思ってもらいたいし、言ってほしいなと思っています。

宮原 「Largo Brand Statement」は青栁さんがベースをつくって、チームで意見を出し合って完成させていきました、ですが「Beyond product」「Co-creation」「Moving you」という言葉自体は、最初に提案いただいたものをそのまま、直さずに完成させました。特に「Moving you」という言葉は、ピタッとハマった感じがしました。

青栁 今回は『Largo』のリブランディングということで、「Largo Brand Statement」に加えて「Largo Experience Room」を新設するなどして、『Largo』が確かに変わったと思っていただけることも意識しています。時間はかかるかもしれませんが『Largo』のすべてが「Largo Brand Statement」に沿っているのだと、みなさんに認知していただくのがゴールだと考えています。