6日間の発酵が生む、
唯一無二のコーヒー体験
コーヒーの精製方法は、長らく生産地の環境に合わせたナチュラルやウォッシュドといった手法が主流でした。しかし2000年代にスペシャルティコーヒーへの注目が高まるなかで、より特異な風味を意図的に生み出すアプローチが世界的に広まり、現在は「味覚づくりの多様性の時代」を迎えています。
そうした潮流のなかで、『Largo Limited』2026年モデルが採用したのが「アナエロビック(嫌気性発酵)」という精製方法です。ワインの醸造からヒントを得たこの手法では、酸素を遮断した密閉タンクにコーヒーチェリーをそのまま入れ、微生物の働きによって発酵させます。酸素のない環境では微生物が独自の代謝を行い、通常の精製では生まれない発酵由来の豊かな香りと風味が引き出されます。
グアテマラの高地にあるグアルバドール農園では、赤く完熟したコーヒーチェリーが空気を遮断されたタンクの中で、6日間という特別な時を過ごします。この「6デイズ(6日間・144時間)」という発酵時間は、幾多の比較検証を経て導き出された、最も華やかで複雑な香味が生まれる最適値。完熟チェリー本来の力で甘さ・酸・香りをじっくりと内側から引き出したこの一杯は、カカオニブのような発酵由来の濃厚な香りと、スモモのような華やかさが調和した円熟した風味が特長です。温度が変化するにつれてウイスキーバレルのようなアルコール感やハイカカオの印象が現れ、ミルクと合わせるとチョコレートテリーヌを思わせる味わいへと変化する。その多層的な表情が、この一杯ならではの魅力となっています。
石谷貴之バリスタが語る、
コーヒー豆のセレクトと味わいの魅力
今年の『Largo Limited』では、原料の選定から焙煎方法の監修まで、日本バリスタチャンピオンの石谷貴之さんに携わっていただきました。数種類のコーヒー豆候補をテイスティングするなかで、グアルバドール農園のパーカスが最終的に選ばれた決め手を聞くと、石谷さんはこう話します。
「数種類の中でテイスティングしたとき、このコーヒーが最も香りが強かった。それが決め手でした。」
144時間という発酵時間は比較的長い部類に入ります。それだけ管理の難易度も上がるなかで、グアルバドール農園のコーヒー豆は、香りの強さだけでなく品質の高さも安定していたといいます。
「発酵時間が長いほど、生産者側の管理にはより細心の注意が必要になります。このコーヒー豆は、その長い時間をきちんと制御しきれているところがすごい。だからこそ、これだけ際立った香りと安定した品質が実現できているんだと思います。」
今回のコーヒー豆の選定には、もうひとつ大切な意図がありました。それは、既存の『Largo』とははっきりと異なる個性を打ち出すということ。2025年モデルが『Largo』らしさを体現した一杯だったとすれば、2026年モデルは意図的にその枠の外へ踏み出す選択です。
「これまでの『Largo』は、飲みやすさや親しみやすさをベースにしたコーヒーの魅力を大切にしてきました。今回はそこから思い切って離れて、コーヒーからこんな香りがするのかと驚いてもらえるような、フルーツを思わせる個性的な香りのコーヒー豆となっています。『Largo』にはこういうラインもあるんだ、と知っていただけるモデルになったのではないでしょうか。」
その香りの強さは、コーヒーに馴染みのない方でも、手にした瞬間にはっとするくらい香りが際立っていると石谷さんは言います。
「この香りの豊かさは、『Largo』のBOTTLEがもつ“香りを閉じ込める”特性と掛け合わさることで、既存のラインアップとは違う、新しい体験が生まれるのではと思います。」
さらに石谷さんは、こうした個性的な発酵コーヒーの広がりが、コーヒーシーン全体の可能性を押し広げていると話します。
「今のコーヒーは、品質もマシンも焙煎技術も上がって、どこでも水準の高いものが飲める時代になりました。その中でこれからのトレンドは、コーヒーをただ提供するのではなく、どんな体験をお客さまに届けるかだと思っています。アナエロビックのような個性豊かなコーヒーが増えたことで、コーヒーをひとつの素材として捉え、より豊かな体験を設計できるようになってきている。コーヒーの多様化が進んだからこそ、提供する体験そのものの価値が問われる時代になった、と感じています。」
「UCC Smile Festa 2026」の『Largo』ブースでは、『Largo Limited』2026年モデルのコーヒー豆を使ったアレンジドリンクを石谷さんに考案していただきました。コーヒーを通した体験価値とはどういったものなのか。こちらの記事もぜひお楽しみください。
UCC Smile Festa 2026 | 『Largo Experience』イベントレポート
発酵の記憶をパッケージに。
青栁智士さんのデザイン哲学
『Largo Limited』のパッケージデザインは毎年、そのコンセプトにあわせて特別にデザインしています。今年のデザインのテーマは、「嫌気性発酵のプロセス」と「グアテマラの土地感」の掛け合わせ。デザインを手掛ける外部ブランドディレクター青栁智士さんは、密閉されたタンクの中という、見えないプロセスをビジュアルに落とし込むことが、今回の出発点だったと語ります。
「発酵はタンクの中で静かに進んでいくものなので、当然見えません。でも、温度が移り変わりながら発酵が深まっていくプロセスには、渦巻くような有機的なエネルギーのイメージがある。その動きや色の変化を、グラフィックとして表現しました。」
グアテマラという産地のモチーフも、国旗や地形をそのまま使うのではなく、その土地の木や土、大地に積み重なる色として抽象化しています。赤・茶・黄色を重ねることで、果実が発酵に身を委ねていくリズムと、時間をかけて味わいの深みが積み重なっていく様子を表現したといいます。
「近くで見るとドキッとするような力強さがあるんですが、少し引いてみると不思議と収まりがいい。見たことはないけど、説明されると腑に落ちる。そういうデザインを目指しました。」
過去モデルとの連続性も、デザインにおいて青栁さんが大切にしていることのひとつです。2025年モデルが水素という技術を「水」の色で表現したように、毎年テーマは変わっても、並べた時にひとつのシリーズとして息づくよう設計されています。
「毎年やっていくものだから、それぞれに意味があると思ってつくっています。テーマを抽象化してグラフィックに落とし込むのは毎年難しいですが、今年も発酵のイメージにしっかり合う形にできたと感じています。」
『Largo』ブランドの哲学と、石谷さん・青栁さんそれぞれの技術と感性が交わった結晶である、『Largo Limited』2026年モデル。
本モデルは『Largo』ブランドに賛同し共に価値を創り上げていただける全国のホテルや飲食店などに向けて、数量限定で販売しています。すでに『Largo』ブランドを採用いただいているお客さまを優先とさせていただいておりますので、ご希望の場合はお問い合わせフォームよりご連絡ください。