コーヒーの香りで表現する、
フォンダンショコラ
佐々木シェフが披露するのは「Fondant au chocolat au café(フォンダンショコラ・オ・カフェ)」です。
このデザートで『Largo』を使用するのは、『Largo』の「オーセンティックロースト」で香りをつけた2種類のパーツと、「ダークロースト」で香りをつけたパーツの計3種類。それぞれが異なる方法でコーヒーの魅力を引き出し、通常のフォンダンショコラでは出せない香りや奥行きを引き出しています。
佐々木シェフが『Largo』のコーヒー豆を使って感じた最大の魅力は、香りの持続力でした。「香りが本当にすばらしい。最初のインパクトがガツンと強いだけでなく、香りの持続力も印象的でした。そこで香りを大切にして、余韻でコーヒーがふわっと香るようなイメージのスイーツに仕上げました」
コーヒーを使用したパーツも含め、全部で6種のパーツで構成される「Fondant au chocolat au café」。フォンダンショコラ本体の他に、外側のガナッシュ、中心に入れたキャラメル、上のクリームなど、すべてのパーツの香りと味わいのバランスを計算し、佐々木シェフが組み立てたレシピです。
それぞれのパーツは、次のような内容になっています。
[ ビスキュイフォンダンショコラ ]
フォンダンショコラの本体となる部分。チョコレート、卵、アーモンドプードル、コーンスターチなどを混ぜ合わせ、オーブンで焼き上げる。
[ ガナッシュカフェ(「オーセンティックロースト」を使用) ]
フォンダンショコラのまわりを覆うガナッシュ。「オーセンティックロースト」のやさしい香りが特長。
[ コンフィチュールキャラメルカフェ(「ダークロースト」を使用) ]
「ダークロースト」を使った濃厚な生キャラメルで、フォンダンショコラの中心に注ぎます。コーヒーのガツンとくる濃さが、ワンポイントのアクセントとなる。
[ シャンティカフェ(「オーセンティックロースト」を使用) ]
コーヒーで香りづけし泡立てた加糖生クリーム。「オーセンティックロースト」を生クリームに2日間漬け込んで抽出し、やさしくふわっと香らせる。
[ ソースキャラメル ]
生クリームとシナモンを加えたキャラメル。
[ クルミのクリスタリゼ ]
ローストしたクルミをグラニュー糖でクリスタリゼしたもの。トッピングに使用。
そして、このデザートの鍵となるのが、コーヒーの香りを引き出す2つの抽出法の使い分けです。
煮出して抽出:ガナッシュカフェ・コンフィチュールキャラメルカフェ
生クリームや牛乳をしっかり沸騰させたところに挽いたコーヒー豆を入れ煮出して抽出(アンフュゼ)する方法です。濃くしっかり香りを出したいパーツに採用します。
漬け込みで抽出:シャンティカフェ
冷たい生クリームに挽いたコーヒー豆を漬け込み寝かせる方法です。冷たいまま漬け込むことでコーヒーの苦みは移らず、香りだけを抽出します。
同じコーヒー豆でも、抽出方法によってまったく異なる表情を見せてくれます。この使い分けこそが、このデザートに立体感と複雑さをもたらしているのです。
美しい盛りつけの実演と、
コーヒーの香りを引き出す技術
実演が始まると、会場の大型スクリーンには、佐々木シェフの手元が映し出されます。
まずはお皿の装飾から。シナモンプードルを使って皿に模様を描きます。「おいしそうに見せることも大事なので、お皿へのデコレーションもしっかりと行います」と佐々木シェフ。続いて、焼き上げたフォンダンショコラ本体をガナッシュカフェにディップし、皿の中心に配置します。
中心のくぼみに「ダークロースト」で香りをつけたコンフィチュールキャラメルカフェを注ぎ込みます。
次に「オーセンティックロースト」で香りをつけたシャンティカフェをフォンダンショコラの上に乗せます。最後にソースキャラメルを回しかけ、カカオニブ、クルミのクリスタリゼを散らし、金箔を添えると、芸術作品のような一皿が完成しました。
デモンストレーションのあと、佐々木シェフより「オーセンティックロースト」と「ダークロースト」の使い分けについて解説いただきました。「オーセンティックのほうは、すこし酸味のあるフルーティなやさしい香りなので、合わせる素材も生クリームなどにして、香りをほのかに楽しめるようにしました」
対して「ダークロースト」は、中心のコンフィキャラメルに使用しています。「ワンポイントでガツンとコーヒーの香りを感じさせたい、濃く出したいところに、「ダークロースト」の苦みや、濃さを活かしています」
明確な意図を持った使い分けが、一皿の中で味わいにグラデーションを生み出しています。
佐々木シェフがお菓子づくりで大切にしているのは、見た目の美しさと、香り・テクスチャー・口溶けの順番のコントロールだそうです。「あまり奇抜なものをつくるのではなくて、まず見た目でおいしそう、美しいと思ってもらえるような設計をしています。また、いくつかの要素を組み立てる時は、どういう順番で香り・テクスチャー・口溶けの順番を持っていくかを考えています」
一口ごとに感じる部分が変わっていく。徐々に層が現れ、複雑に絡み合い、最後にひとつの調和へと収束していく。まるで音楽のような、時間軸を持った体験をお菓子で表現しているのです。
『Largo』を使ったスイーツレシピ制作にあたり、佐々木シェフは「難しいポイントは特になくて。香りの持続が長いので、このコーヒー豆のいい部分をどのように表現するかを考えました。『Largo』はしっかりと香るので、扱いやすかったです」と語ります。世界レベルのパティシエをそう言わしめる『Largo』コーヒーの品質の高さが窺えます。
実際に味わって感じた、
計算されたおいしさ
実演後、参加者に実際にこのフォンダンショコラを味わっていただきました。『Largo』のコーヒーと共に楽しむ、贅沢な時間の始まりです。
口に運ぶと、チョコレートとクリームがやさしく混ざり合い、ほのかにコーヒーが香ります。食べ進めるうちに、キャラメルの甘みとコーヒーのいい意味での苦味や深み、コクが感じられます。くるみのクリスタリゼのカリッとした食感や、お皿に散らしたカカオニブもアクセントとなり、濃厚なフォンダンショコラでありながら、最後まで飽きずに軽やかに食べきれる一皿でした。
「ビターで濃厚なデザートには、同じく深みのあるビターなコーヒー、またはカフェラテとのペアリングが特におすすめです」との佐々木シェフの言葉どおり、『Largo』の「ダークロースト」と合わせると、さらに奥行きのある味わいに変化します。
佐々木シェフのデモンストレーションを通じて、『Largo』の技術と品質の高さ、そしてそれを活かしたスイーツの可能性を体験することができました。特に、コーヒー豆の種類や、目的に合わせて抽出方法を分ける技術は、お店のスイーツ開発でも参考になるのではないでしょうか。ぜひ『Largo』を使ったオリジナルスイーツづくりにもチャレンジしてみてください。